印象派の画家クロード・モネの技法

クロード・モネ(1840-1927)
19世期フランスの画家。

印象派の筆頭。
屋外写生で絵具を多く混ぜない印象主義の分割筆触で黒などの自然に無い色の絵具は用いずに風景など自然の光と色をとらえていく画風。晩年は抽象画のような光が溶けるような風景を描くようになる。

モネ 油彩 印象 日の出
モネ 油彩 「印象 日の出」(1874)
代表作の一つである第一回印象派展出品作品

あまり文献で彼の使用していた道具について詳しく書いていたのは見かけた事がない。鉛白を使っていたというのは読んだ事があるがそれは当時としては当たり前だろう。写生による風景画家は当たり前なのだろうがイーゼルを持ち出して屋外をアトリエにしていたと言ってもよい逸話も多い。

今も保存されている彼の家そして部屋やそこにある家具、彼を紹介する本の写真でも見る事が出来る。パレットなどの道具もちらほらと見られる。

フランスの故郷の港湾都市ル・アーブルにいた少年時代からカリカチュア風な似顔絵でお金を稼ぐなど周囲に名を馳せていた。そこで出会った風景画家ブーダンに影響を受け彼も本格的な絵画を始める。
やがてパリに出てきて画塾に通うも伝統的な美術教育を嫌い、いつしか友達であり後の印象派のメンバーでもあるルノワールやバジールたちと屋外に写生へと飛び出すようになる。
自然な生き生きとした写生を旨とした絵画を制作するようになる。若い頃は人物を主体とした風俗画や肖像画も描いていたが青年から壮年にかけて風景が主体となる絵が多くなる。老年にかけてはほぼ風景のみになっていく。


モネ 油彩 「ルエルの眺め」(1858)
ル・アーブル時代17才の頃の作品

ここからは知見による推測になるが、
印象派はチューブから絞り出して、それほどたくさん色を混ぜずに直接塗っていたのは有名で、屋外写生で描くスタイルなのだから溶き油にそれほど多くの助剤を入れていたようには思えない。
特にモネは、刻一刻とその時々で移り変わる風景とらえようとたんじで描こうとするのだから、少なくとも屋外で古典派の画家のようにじっくりメディウムを練り合わせて描いていた時間はなかっただろう。
とある技法書で印象派の絵具の取り扱いの問題点を指摘する部分(多少偏った見方だとは思ったが)にテレピン油のみで描いていたとの記述も見かけた事がある。それが正しいか定かではないがあまりメディウムで溶かない固練りで描いていたもと言われている。ツヤのない絵が多いらしいからその通りなのだろう。